先生と一人の少年

 


ある小学校で

いいクラスをつくろうと

一生懸命の女性の先生がいました。

その先生は5年生のクラスの担任でした。

そのクラスに、

一人の少年がいました。

その少年は

度々遅刻をし

先生が

おはようの声掛けをしても

返事もしません

先生はその子のことが

どうしても好きになれず

いつしか

毛嫌いをするようになっていました。

そして、記録簿には

悪いことばかり

記入するようになっていました。

あるとき

少年の1年生からの記録を見ていました。

そこには

ほがらかで友達が好きで

勉強もできて

人にも親切

彼の将来がたのしみだ

と書かれていました。

最初、間違いだ、

他の人の記録に違いない。

その時は、先生はそう思いました。

でも、そのあと

2年生以降の記録をみて

はっとしました。

母親が病気になり

疲れて教室で居眠りをするようになった。

そして

その母親が亡くなり

希望を失い悲しんでいました。

父親は、生きる気力を無くし

アルコール依存症になり、

少年にも暴力を振るうようになりました。

先生は

自分がダメだと決めつけていた少年が

ただ一人、

深い悲しみの中を生き続けていたことに気付きます。

先生は

思い切って

少年に声を掛けます。

「先生、夕方まで仕事しているから

よかったら、勉強していかない?」

それから彼は、

毎日毎日

予習・復習を熱心に続けました。

彼の顔にも

少しづつ笑顔が戻ってきました。

6年生になって担任は変わりました。

あるとき、彼から

1枚のカードをもらいました。

そこには、

「先生は、僕のお母さんのようです。

そして、今まで出会った中で一番の先生です。」

と、書かれていました。

それから6年後

また、彼からカードが届きました。

そこには、

「あすは、高校の卒業式です。

僕は、5年生で先生に担任してもらって

とても幸せでした。

おかげで、

奨学金をもらって

医学部の進学することができます。」

と書かれていました。

そして、その十年後、

手紙が届きます。

その手紙には

医者になった報告と

「僕は5年生のころを、よく思い出します。

あのままダメになってしまっていた僕を

救ってくださった先生を神様のように感じます。

大人になり、医者になった僕の最高の先生は

5年のとき担任をしてくださった先生です。」

そして、その一年後

彼から

結婚式の招待状が届きます。

そして、その招待状に

手書きで書かれていました。

「母親の席に座ってください。」

彼女は、

心の中で「ありがとう」

とつぶやきました。

彼女は、

その後も、すてきな教師生活を続けられたそうです。

人の奥にある

悲しみにも気付ける

思いやりのある人間になりたいと思います、










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